本山守護の本尊、常富大菩薩は江戸中期に日乾上人が本滝のそばに「宇迦の御魂(うかのみたま)」(陀吉尼天)として勧請された神さまです。
常富様には次のような伝説があります。
京都洛北の常照寺(通称が鷹峰(たかがみね)妙見)は江戸時代には日蓮宗の僧侶の学校である鷹峰檀林がありました。
亨保年間のこと、学寮に智湧(ちゆう)という年老いた学僧がおりましたが、当時山内にしばしば奇瑞(きずい)(不思議な出来事)がおこり噂となり、日頃から何かと常任と異なる智湧をいぶかった、学頭の空妙院日善上人が、ある夜その部屋を覗いたところ、一匹の白狐が一心に勉強していました。
すがたを見られた白狐はやむなく檀林を去り摂津の国、能勢妙見山に登って常富惣五郎と自称し修行を重ねられた。
檀林を去るに際して、首座(しゅざ)(学長)あてに起請文(きしょうもん)と道切請文(どうぎりしょうもん)(退学届)とを書いて残され、その末文には狐の爪の印が押されており、常照寺の霊宝として保存されています。
日乾上人によって「宇迦の御魂」として祀られたのは、この神通自在の霊狐で陀吉尼天の應神として、本瀧寺山内擁護の守護神「常富大菩薩」となられたのです。
本瀧寺では、毎年寒の入りにこの御魂を金色の御輿に乗せて滝上の竜王窟に遷座し、節分の日に再び本堂にお迎えする行事が、古式ゆたかに行われています。
常富様のお姿は、白髪を肩まで垂らし、白く長い顎髭を生やされ白の法衣姿で右手に杖、左手に宝珠を持ち、岩の上に立たれています。

